肝細胞がんの多くは肝炎ウイルスの感染が原因です。ウイルス性肝炎から一部が肝硬変、さらに肝細胞がんへと移行します。適切な診断とそれぞれの病期にあった治療法の選択が大切です。また、肝細胞がんの発がんや再発を防ぐために、患者さん自身が知識と自覚を持ってこの病気に対応する必要があります。肝炎、肝細胞がんに詳しい虎の門病院の池田健次先生に肝細胞がんについてお話を伺いました。

虎の門病院肝臓内科
部長 池田 健次 先生

【監修】

池田健次先生

いけだ・けんじ先生
1978年3月岐阜大学医学部卒業、同年4月虎の門病院 病棟医。同院消化器科 医員などを経て2005年7月同院肝臓内科 部長に就任、現在に至る。日本消化器病学会評議員・指導医、日本肝臓学会評議員・指導医、日本内科学会認定専門医・指導医、日本肝癌研究会幹事。これまでの主な研究内容は、慢性肝疾患のインターフェロン治療、肝細胞がん発がんと予防治療、肝細胞がんの内科的治療など。


身体の科学工場

――本日はありがとうございます。本日は肝臓がんについてお話をいただきたいと思います。最初に肝臓とはどんな臓器か、どんな働きをしているのか。知っているようで知らない臓器だと思うのですが、そこからお話をいただけますか。

図1. 肝臓とその周辺の臓器

図を拡大する
図1.肝臓とその周辺の臓器

池田肝臓は右の上腹部に位置する、人体で最大の臓器です。重さは男性で1500gになります。20歳から40歳で最も重くなり、その後は軽くなっていきます。肝臓に流れる血液は成人で1分間に約1リットル~1.8リットルで心臓が送り出す血液の25%に相当します。肝臓に入る血管には肝動脈と門脈の2種類がありますが、肝臓に流れる血液のうち4分の3から5分の3が門脈から、残りが肝動脈から入ってきます。
肝臓には門脈を通じてさまざまな物質が運びこまれます。食事から吸収された糖質、脂質、タンパク質などの栄養素は肝臓で代謝され、蓄えられたり、ビタミンを活性化したりしています。また肝臓の大切な機能に解毒があります。肝臓は薬剤やアルコールのほか老廃物を分解・無害化し、余分なコレステロール、ビリルビンを胆汁とともに排泄します。胆汁には脂肪の分解を助ける作用があります。また血液の貯蔵・放出によって全身の血流を調節する循環調節機能、血液を固まらせる作用を持つ血液凝固機能も持っています。
一方、肝動脈は肝臓自体が働くための栄養や酸素を供給しています。

――多彩な働きを、化学反応を介して行っているわけですね。肝臓が「身体の化学工場」と呼ばれる理由がわかります。


ページトップへ

Last Updated: 2015/5/13L.JP.OH.09.2014.0841