――腎細胞がんの症状にはどのようなものがありますか。
堀江最近は無症状の段階で健康診断や人間ドックで受けた超音波検査で発見され、専門医を受診するケースが増えました。全体の受診中のうち70% はそうした無症状の段階で受診しています。がんの直径が5cm以下の場合はほとんど症状がありません。ということは、他の癌と同様に、症状が自覚されるということはかなり進行してしまった状態であると言えます。
進行した腎細胞がんの3大症状は、血尿、腹部の腫瘤(しこり)、腹痛です。血尿は約半数の患者さんに出ます。最初は肉眼ではわからないほど微量な出血であり、痛みも発熱もありませんので「無症候性血尿」と呼ばれます。尿検査をして始めて明らかになる程度ですが、やがて肉眼でもはっきり分かる血尿となります。注意したいのは、この血尿は持続せず、数日で消えてしまうことがあることです。ここで安心してしまうと受診機会を失ってしまうことになります。血尿が間断的に繰り返されるようになると、がんが悪化している可能性が高くなります。
さらに病状が進行するとわき腹が腫れ、痛み、不快感、圧迫感が現れます。尿管で血液が固まってしまうと激痛をともなうこともあります。倦怠感、食欲不振、発熱、体重減少などもよく見られます。 これらの症状は必ずしも腎細胞がんに限りません。しかし、血尿が見られたときは泌尿器科を受診するようにしたいものです。
――早期に腎細胞がんを発見するにはどうしたらいいでしょうか。
堀江スクリーニング検査※4の方法としては、超音波(エコー)検査の右に出るものはないといっていいでしょう。超音波検査装置で腎臓の中を見ることでがんと血管の位置がわかります。偶然発見される腎細胞がんの多くが超音波検査によるものです。仰向け、横向きに寝て、プローブ※5を肋骨の下や肋骨の間に当てて行いますが、簡単に短時間(20~30分)で検査できます。
――超音波検査で良性、悪性の鑑別もできるのですか。
堀江超音波検査はあくまでスクリーニング検査です。腫瘍が見つかっても良性腫瘍である可能性もありますから、その段階で診断することはできません。より精密に検討するためにはCTやMRIなどの検査が必要になります。特に2cm以下の腫瘍では、良性腫瘍である腎血管筋脂肪腫※6(AML)との鑑別が必要です。腎細胞がんの場合には腫瘍周囲に膜のような構造(偽被膜)が見られるが、AMLでは見られない、またAMLは脂肪成分を多く含むことなどが鑑別のポイントになります。
- ※4
- スクリーニング検査…ある状態にある人々とそうでない人々を可能なかぎりふるい分けるための検査。
- ※5
- プローブ…超音波を発生させて、反射した超音波(エコー)を受信するための装置。
- ※6
- 腎血管筋脂肪腫…血管・筋肉・脂肪成分からなる良性の腫瘍。



