50歳以降で急増する腎臓がん

――腎臓がんの患者さんは増えているのでしょうか。

堀江増えています。ひとつには、健康診断や人間ドックなどで早期のまだ症状がない段階で発見される患者さんが増えていることが大きいとされています。後でご説明しますが、腎臓がんは早期であれば完全な治癒が期待できるがんですので、早期発見の割合が高くなることは大変よいことだと思います。
 腎がんの罹患率は、1975年には人口10万人当たり男性2.5人、女性0.8人でしたが、1996年には男性8.8、女性3.2です。亡くなる人の数は年間5000人程度で、がん全体の腎がんに占める割合は1% 程度ですが、増加しています。男性に多く、好発年齢は40歳~60歳です。特に50歳代後半以降に急増し始める傾向にあります。

――どのような人が発症しやすいのですか。

堀江昔から古典的な危険因子が3つあります。肥満、喫煙、高血圧です。ただこれらの危険因子も何倍もリスクが跳ね上がるというものではなく、一番リスクが高いといわれている肥満でも2倍程度です。注意しなければならないのは透析治療を受けている腎不全の患者さんです。現在、人工透析を受けている患者さんは全国で26万人います。腎不全となる原因で一番多いのは糖尿病で、次が慢性腎炎、その次が高血圧です。透析を受けていると腎がんの発症率は20~60倍に上がるといわれています。透析を受けている患者さんは1年に1回は腎がんの検査を受けてほしいものです。
 また一口に腎がんといっても、「腎細胞がん」と「腎盂がん」があり、これらは異なるがんであることに注意しておく必要があります。先ほどもご説明しましたが、腎臓には水分や様々な物質を再吸収し、老廃物を排泄したりする尿細管という細い管がありますが、この尿細管の中の細胞に発生したがんを腎細胞がんといいます。これに対して腎臓で作られた尿が流れる通路である腎盂を覆う粘膜からできるがんは腎盂がんといいます。腎細胞がんと腎盂がんはがんの性質も治療法も異なります。腎がんの90%は腎細胞がんですので、ここでは腎細胞がんのお話を中心に進めたいと思います。ちなみに、腎細胞がん、腎盂がんは成人のがんですが、小児の腎臓に発生するがんにウィルムス腫瘍があります。


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